LAPRAS株式会社でインターンを始めました
概要
2019年3月25日から、LAPRAS株式会社(旧scouty)でアルゴリズムエンジニアとしてインターンを始めました。
LAPRASについて簡単に説明すると、GitHubやSNSなどをクロールして構築したDBと機械学習技術を用いて、エンジニアと企業をマッチングさせるサービスです。4月10日からto Cのサービスが開始し、今まで採用担当者だけが閲覧可能だったプロフィール画面がエンジニア本人にも公開されました。
LAPRASを選んだ理由
私は大学で機械学習の研究をしており、また趣味やアルバイトでWeb開発の経験があります。就職/インターン先を選ぶにあたっては、これらのスキルセットのどちらか或いは両方を活かせることを第一条件にしています。
とは言え、人工知能の活用を謳う企業は掃いて捨てるほどあります。その中で特にLAPRASが良いと思った理由を以下で述べていきます。
広報記事の内容に説得力が有る
LAPRASでは、自社ブログのHR TECH LABとAI LAB、加えてWantedly feedで主に情報を発信しています。そこには、LAPRASが組織として持っている考え方と、なぜそのように考えるのかという根拠がはっきりと書かれています。
特に印象に残ったものを1つ挙げましょう。LAPRASから送られるスカウトメールは全て人が手動で書かかれていますが、その理由に繋がるのが以下の記事です。
どんなに候補者に強い関心を持っていても、それが文面から伝わらないのでは意味がありません。また、文面から関心の強さが伝わっても、仕事内容にも、環境にも、待遇にも、候補者にとってメリットがないというのでは、その会社に興味を持ちません。 これらを候補者に伝えるために、重要となってくるのがスカウトメールのパーソナライズです。多数の人に対して送られるテンプレートのような内容では、特に関心の強さが伝わりません。また、メリットの説得力も弱くなります。
スカウトメールを実際に受け取る側として、この記述が正しいことを私はよく知っています。「特別オファー」と称して不特定多数を相手にスパムメールをばらまく就活サービスもあれば、プロフィールのどこに興味を持ったか一言添えてスカウトを送るサービスもありました。好感を抱いたのは当然後者の方です。
更に、この記事には非常に高度にパーソナライズされたスカウトメールの文例が多数提示されています。広報のために脚色した話ではなく、普段からこの考えが実践されていることが明白に見て取れました。
組織体制がおもしろい
LAPRASはホラクラシー組織という形態を取っています。
私もまだ詳しく理解できているわけではないですが、大雑把に説明するならば:
- 従来 : 人を階層状に組織
- ホラクラシー : 役割を階層状に組織
軍隊にとっては従来の組織が自然ですが、現代の企業にとってはホラクラシーの方が自然な形のように感じます。
何か大きな仕事を達成する為に別の副次的な仕事が複数発生することはよくあります。そうして次々と仕事が増殖していく中で秩序を保つためには:
- 今どんな役割があるのか
- その役割はそもそも何の目的で存在しているのか
- その役割には誰が割り当てられているのか
を常に明らかにしておかなければなりませんが、これを最も自然に整理できるのがホラクラシー組織だと認識しています。
インターン選考
私がアルゴリズムエンジニアのインターンとして選考を受けた際には、スキルチェック課題として以下の3つが出題されました:
各課題について質疑応答やディスカッションがあり、研究や実装の能力に加えて思考過程と論理性も判断されるような選考でした。
個人的におもしろかったのは、学会で研究者向けに発表するためのスライドをそのまま使ってプレゼンできた点です。普通の企業の面接でそんなことをしたらまず理解されないのですが、LAPRASの選考では、たった15分ほど話をしただけで私の指導教員より的確な質問が飛んできました。それだけ優秀な社員がいて、なおかつ採用に本気で取り組んでいることを示す証拠です。
現在までにやった仕事
取り組んだ課題
LAPRAS SCOUTには検索条件を基に適切なエンジニアを採用担当者にレコメンドする機能があり、その関連の課題に現在取り組んでいます。この記事を書いている時点で累計9日出社しましたが、その間にした仕事は:
- 候補者の技術力スコアと採用担当者のフィードバックの相関を分析
- レコメンドの新しいアルゴリズムとして使えそうな先行研究の調査
- LAPRAS SCOUTを使って候補者を選び、スカウトメールを書く研修
LAPRAS SCOUTを実際に使う中で、検索条件と合致しない地域に住んでいる候補者がレコメンドされることがありました。その解決に向けて私は今、候補者の居住地データの構造化をしているところです。
仕事の方法論
私のワークフローを振り返ると、おおよそ以下のようなパターン(順不同)を繰り返しています:
- 課題を明確にしてGitHub issueを作る
- Redashでデータを閲覧
- Python + Jupyter Notebookでもう少し詳しい分析、プロトタイピング
- 業務の過程で考えたこと、詰まった所、細かいタスクなどをSlackに書く
- ノートアプリ(Notion)で自分のタスクや分析結果などを整理
- 分析結果がまとまったら社内wiki(esa.io)にページを作成して報告
まだ洗練されているとは言い難く、特に情報やタスクの管理に関してツールをどう使い分けるかが悩ましいところです。現状では、自分が今何をしているかを他のメンバーからわかるようにする目的でSlackに雑に情報を投げ、ローカルで整理し、最終的にまとまったものをチームに共有するようにしています。
LAPRASにインターンとして入った後の印象
LAPRASの企業情報ページには5つのAction Agendaが掲げられており、実際に仕事をする中でこれらのAgendaが非常によく遵守されている印象を受けました。以下では特に、 オープンであれ
と エンドユーザーファースト
について述べます。
オープンであれ
社内外に向けて、本当に恐ろしいほど情報がオープンにされています:
- 社外に向けてオープン
- 社内に向けてオープン
- Slackのチャンネルが全てpublic
- 社内wikiで全ての情報が公開されている
特に社内wikiは、正社員/インターンや部署に関係なく(ホラクラシー組織なので部署という用語は適切ではないと思いますが)全てのページを閲覧することができます。公開されている情報の例を挙げると:
- 技術情報
- 各月の売上、売上原価、販管費、損益
- 各月の契約企業数、スカウト返信率などのKPI
- 給与のスタンス
- ミーティングの議事録
エンドユーザーファースト
LAPRASにとってのエンドユーザーとはつまり、採用候補者となるエンジニアのことです。エンドユーザーの利益向上のためにLAPRASが今取り組んでいることとして、上でも述べた2つの点が挙げられます:
- 候補者一人ひとりに向き合ったスカウトメールを書く
- 収集した候補者プロフィールの情報を、企業だけでなく本人にも開示する
「スカウトメールをパーソナライズする」と言葉にするのは簡単ですが、実行するには多大な労力が必要です。実際に、私が研修で初めてスカウトメールを書いたときは、1通あたり1時間程度かかっていたと思います。
そこまでしてエンドユーザーを大事にしている理由について、私なりの推測があります。LAPRASの社員は、自社サービスの開発者であり顧客であると同時に、エンドユーザーの立場でもあることです。LAPRAS SCOUTからメールを受け取ってLAPRASに転職した方もいれば、他社サービスからスカウトメールを受け取った経験のある方もいます。そうした自身の体験に基づいてエンドユーザーファーストを志向しているのだと私は考えています。
最後に
LAPRASに登録すると、エンジニアとしての技術力が客観的に数値で評価されておもしろいので、ぜひ試してみてください。(ポジショントーク)